【遊戯王コラム】気になるプレイヤーインタビュー第2談:土浦CS入賞『憑依装着』使い「電車」さん

こんにちは、前回のJGP優勝者のカガワさんへの取材に続き第2弾です。

珍しいデッキが入賞されていましたので、お話を伺ってきました。

7月10日に開催された第6回土浦CSにて、決勝トーナメントに出場された「憑依装着」デッキを使う「電車」さんです!(@CardgamerDensya)

アイコン:青葉志乃さん(@shino_uwai)画

電車さんとは、東北六遊祭で初めてお会いしました。
珍しい「憑依装着」デッキを使っているのが記憶に残っていて、その六遊祭ではオンリーワンデッキ賞を獲得されていました。そして、今回の土浦CSでもデッキ賞を獲得しつつ決勝トーナメントまで進んでいます。

それでは、電車さんどうか宜しくお願いしますm(_ _)m

土浦CSベスト16位:「電車」さん

もくじ

遊戯王歴と最初に使っていたデッキは?

ーそれでは、遊戯王歴はどれくらいでしょうか?

電車:遊戯王がブームのときに始めました。当時は小学生でしたね。ギリギリエキスパートルールになったあたりだった気がします。多分15年くらいはやってるんじゃないでしょうか?

ー最初に使っていたデッキは何を使っていました?

電車:始めに作ったデッキは攻撃力1800が主力の【スタンダード】ですね。シーザリオンやレインボー・フィッシュで戦ってました。上級生のジェミナイ・エルフとメカ・ハンターにボコボコにされたのはいい思い出ですw

フルハ:僕はその時1800の壁が超えられなくてMTGに転向していました^^;

デッキレシピ:憑依装着

予選
1回戦【ABC】○○―
2回戦【シャドール】○○―
3回戦【シラユキライロ】○×○
4回戦【DD】○×ET○
5回戦【青眼】×○×

決勝トーナメント 1回戦【メタルフォーゼ】×○×

採用カードについて

電車:この【憑依装着】、通称「嫁メタビ」と言われたりするデッキタイプはファンデッカーには割と有名なデッキタイプですが、それ以外のプレイヤーには馴染みがないようなので、なるべく詳しく説明させて頂きます。
また、メインデッキに採用されそうなカードで今回不採用となったカードも合わせて紹介します。まずはメインデッキからです。

モンスターについて

憑依装着-ヒータ、憑依装着-エリア、憑依装着-ウィン、憑依装着-アウス、憑依装着-ダルク
このデッキの主役です。1850と高めの攻撃力とそれぞれが対応する霊使いとその霊使いと同じ属性のモンスターをフィールドから墓地に送ることでデッキから特殊召喚でき、この方法で出したときに貫通能力が付き、ダルクだけはデッキから星3か4の光属性魔法使い族をサーチする効果を持っています。…が、このデッキでは単にバニラアタッカーとして利用します。

現在カード化している全ての憑依装着を採用しているのは後述の憑依開放の為と、憑依装着を全員使いたかったからです。霊使い達の中でダルクだけ男の子なので、採用されていない構築を見かけますが仲間外れは可哀想だと思います。(ライナ…)
あと、皆さんが知っての通り、イラストが凄く可愛いです。ちなみに僕はヒータ派です。

ダーク・ドリアード
スケール5のペンデュラムモンスターで、スケールにあると自分フィールドの火、水、風、地属性の攻守を自分フィールドのモンスターの属性の数×200パンプする効果、召喚に成功したときに自分のデッキから火、水、風、地属性を1枚ずつ選びデッキトップに積み込む効果を持っています

スケールにあるときの効果はややこしいですが、パンプするのは火、水、風、地属性ですが、属性としては光と闇も数えます。よって、例えば自分フィールド上に火属性と闇属性のモンスターがいた場合、火属性のモンスターの好守が400パンプされます。パンプ値はささやかですが、ライオウに代表される1900アタッカーや守備2000の壁を突破できるようになるので、地味に嬉しいです。

モンスター効果はこのデッキではほとんど使用しませんが、後続のモンスターを確保できるので全く使わない訳ではないです。一度EDで使用して勝ったことがあります。
また、攻撃力も1800と高めである為、召喚しても戦闘をこなせます。

主に後述する命削りの宝札との兼ね合いでスケールに置くペンデュラムモンスターが欲しかったので入っています。何故このモンスターだったかというと、完全に雰囲気重視ですねw
このモンスターのリメイク元は”精霊術師”ドリアードで、霊使いは”精霊使い”の略らしいので、雰囲気はバッチリです。二次創作でも精霊術師ドリアードはよく霊使い達の先生役で書かれてたりしますしね。

魔法カードについて

魔法族の里、テラ・フォーミング
魔法族の里は自分フィールド上にのみ魔法使い族がいる場合は相手が、自分フィールド上に魔法使い族がいない場合は自分が魔法カードを使えなくなるフィールド魔法です。ペンデュラムモンスターをスケールに置く場合、魔法カードの発動扱いとなるので、スケールセットも制限できます。

よく勘違いされるのですが、自分も相手も魔法使い族をコントロールしている場合は効果はありません。普通にお互い魔法を発動できます。
現在の環境はドローやサーチを行う魔法カードを大量に投入したデッキ、ペンデュラムモンスターを主軸にしたデッキが多く、なおかつデッキに投入されている魔法使い族の数は少ないので、強力なメタカードとして機能します。
また、魔法罠ゾーンを埋めずにハーピィの羽根箒やツインツイスター等を防げるので、バックを守るのにも重宝します。

なるべく初手に欲しいので、多く積みたいカードで、よく見るレシピだと魔法族の里3、テラ・フォーミング3とかもあるのですが、被ったら弱いのでこのデッキでは魔法族の里2、テラ・フォーミング1にしています。

命削りの宝札
1ターンに1枚しか発動できず、発動後、ターン終了時まで相手へのダメージが0になり、発動するターンは特殊召喚できない、ターン終了時に手札を全て捨てるという4つのデメリット効果を持っていますが、手札が3枚になるようにドロー出来るこのデッキで最も強いドローカードです。

相手へのダメージが0になるというデメリットは”発動した後”からなので、モンスターの攻撃やバーンカードなどダメージを与えた後で発動することで、ほぼ無視することができます。バハムート・シャークと同じような裁定ですね。

それに加えて、このデッキはレシピからも分かる通り、モンスターがあまりデッキに入ってなく、魔法・罠カードが大量に入っているので、高確率で3枚ドローでき、ドローしたカードを伏せやすいのでターン終了時にディスカードする必要もほとんどありません。また、特殊召喚もほとんどしないデッキなので、実際はデメリットはほとんどない優秀なカードですね。

出来れば先攻で発動したいのと、アドバンテージを能動的に取れないこのデッキで伏せカードを大量に供給してくれる為、3枚確定です。
ただし、先攻でこのカードで3枚ドローすると、フィールド魔法ゾーンかペンデュラムスケールにカードを置けないとディスカードすることになります。フィールド魔法は魔法族の里がありますが3枚では引けるか分かりません。そのためにペンデュラムモンスターのダーク・ドリアードを採用しています。

強欲で貪欲な壺
皆大好きゴードン。確かに2枚ドローは魅力的なのですが、後述する憑依開放とアンチシナジーなのと2枚発動するとデッキ枚数が限界になり、ダメージクロックがあまり高くないこのデッキでは相手のライフを0にするより先に自分のデッキが0になる方が多いので、4枚目の命削りの宝札という意味合いで1枚だけの採用になります。割とサイドアウトされることが多いです。

強欲で謙虚な壺
モンスターを絞っていて、なおかつ魔法族の里、命削りの宝札と初手に欲しいカードが多く、特殊召喚はほぼしないデッキなのでデッキトップ3枚から1枚選んで好きなカードを手札に加えるこのカードはかなり重宝します。

罠カードについて

憑依開放
四霊使いが初めてパックに収録されてから約9年の時を経て登場した霊使い・憑依装着のサポートカードです。このカードの登場により、「霊使い」と「憑依装着」はカテゴリーとなりました。

効果としては、自分の「霊使い」モンスターは戦闘では破壊されなくなる効果、自分の「憑依装着」モンスターが攻撃するダメージ計算時にそのモンスターの攻撃力を800パンプする効果、1ターンに1度自分のフィールド上のモンスターが破壊された場合にそのモンスターと属性の異なる守備1500の魔法使い族モンスターをデッキから表側攻撃表示、または裏側守備表示で特殊召喚できるリクルート効果を持つ永続罠カードです。

このデッキでは「霊使い」モンスターが入っていない為、戦闘破壊耐性を付与する効果は受けることができず、パンプ効果とリクルート効果を使用します。
パンプ効果は攻撃するときだけなので、「憑依装着」モンスターを戦闘破壊から守るのには向きませんが、パンプ値が800と大きい為、戦闘補助としては優秀で、ヴェルズ・オピオンやフレシアの蟲惑魔などを「憑依装着」モンスターで戦闘破壊出来るようになります。

リクルート効果は、「自分フィールド上」で破壊された場合とかなり緩く、自分フィールド上で破壊されたのなら、破壊したのが自分でも相手でもよく、カード効果による破壊と戦闘破壊の両方に対応し、元々の持ち主が相手のモンスターが破壊されても発動でき、後述のマクロコスモスの影響下で破壊されたモンスターが墓地に行かない場合も問題なく使え、なおかつ、破壊された「場合」に発動「出来る」なのでタイミングを逃さない任意効果なので、1ターンに1度とは言えかなり使いやすいです。

表側攻撃表示か裏側守備表示かを選択してリクルートできますが、このデッキではほぼ表側攻撃表示で特殊召喚します。
破壊されたモンスターと異なる属性を持つ魔法使い族モンスターを特殊召喚する為、このデッキでは憑依装着の種類を可能な限り散らしています。

また、守備1500の魔法使い族であれば「霊使い」、「憑依装着」モンスターでなくても特殊召喚できるので、お注射天使リリー等も特殊召喚することができます
守備1500ピッタリの魔法使い族しか特殊召喚できないので、このデッキでは守備1400のダーク・ドリアードはリクルートできないので注意が必要です。

マクロコスモス
墓地に送られるカードを全て除外する永続罠。【メタビート】の特権みたいなカード。
現在の環境では墓地リソースを重視するデッキが多い為、相手のデッキによって破壊されなければエンドカードになります。
一応、発動時にデッキから原始太陽ヘリオスを特殊召喚する効果を持っていますが、このデッキでは使いません。むしろ、この効果があるが為に発動を神の警告で無効にされたりします。

スキルドレイン
1000ライフをコストに発動し、お互いにフィールド上のモンスターの効果が無効になる永続罠。
こちらのモンスターは実質バニラなのでこちらには影響を及ぼさない為、実質効果を受けるのは相手のみとなります。
主に現在の環境で猛威を奮っているマジェスペクター・ユニコーンに対するメタカードですね。

虚無空間
特殊召喚を封じる制限カードの永続罠。自分のフィールドか自分のデッキからカードが墓地に送られたら自壊してしまいますが、最近のデッキは特殊召喚できないと低ステータスのモンスターしか入っていないデッキも多い為、発動して維持出来れば相手のデッキによってはエンドカードになります。
マクロコスモスと一緒に張るとマクロコスモスが破壊されない限り破壊されなくなり、他の伏せカードを使えるようになり強力です。

神風のバリア -エアー・フォース-
相手モンスターの攻撃宣言時に相手の表側攻撃表示モンスターを全てバウンスする通常罠。
最近のカードは「カード効果の対象にならず、カード効果で破壊されない」という耐性を持っているので、ミラー・フォースの代わりに採用しました。このデッキの数少ない返し札になります。

強制脱出装置
フリーチェーンのバウンス。どんなデッキを相手にしても大体は最低限活躍し、最悪自分のモンスターを守ることにも使える万能カードです。

大革命返し
ツインツイスターやハーピィの羽根箒を1枚でカウンターできるカウンター罠。スターライト・ロードとの選択枠ですが、スターライト・ロードは「自分フィールド上のカードが2枚以上破壊される時」発動できるのに対し、大革命返しは「フィールド上のカードが2枚以上破壊される時に」発動できるので、光帝クライスが自分と相手のカードを1枚ずつ破壊する場合や、スクラップ・ドラゴン、幻影騎士団ブレイクソードの効果に対しても発動できる為、環境を考慮してこちらに。

被ったら弱いのですが、ツインツイスターが流行っている為、なるべく引きたいカードなので気持ち多めに2枚採用しています。

神の通告、神の警告、神の宣告
特殊召喚や通常召喚に対する強力なカウンター罠たち。このデッキでは重要なメインの妨害札です。現在の環境デッキ相手だと、通告は【DD】相手には微妙ですが、打ち処がない訳ではなく、その他の環境デッキには大体刺さる為、ガン積みです。警告、宣告は効果の関係上腐る相手がほぼない為、問題なく採用。

不採用カード

久遠の魔術師ミラ
奈落の落とし穴や激流葬に引っ掛からない攻撃力1800の優秀なアタッカー。以前はイラストが光霊使いライナに似ているので採用していたのですが、命削りの宝札採用にともない、ダーク・ドリアードの枠を開ける為に今回は不採用。

お注射天使リリー、魔導戦士ブレイカー、霊滅術師カイクウ、クルセイダーオブエンディミオン、ブリザード・プリンセスetc.
【嫁メタビ】や【里メタビ】ではよく見るモンスターたちですが、個人的にこのデッキは【嫁メタビ】でも【里メタビ】でもなく霊使い達の【憑依装着】なのでこだわり的に不採用。

各種手札誘発
上記の理由に加え、命削りの宝札との相性も悪い為、不採用。

成金ゴブリン
命削りの宝札や各種メタカードを引く確率が僅かでも上がるのはいいのですが、ダメージクロックがあまり高くないこのデッキでは、相手が1000ゲインするのが辛い為、不採用。あと、このカードを積むよりも素直にバックを増やした方が強いというのもあります。

一族の結束
効果は強力なのですが、このデッキでは戦術的にモンスターが墓地に置かれにくい為、不採用。

魔導師の力
直接相手モンスターを除去できる訳ではなく、装備魔法の性質上、除去に弱い為、今回は採用を見送りましたが、除去カードが少なく、高打点で押してくる【青眼】に対して欲しい場面が有った為、サイドには採用して良かったかもしれません。

サイドデッキについて

ブラックホール
先攻展開を返す為のカード。自分が先攻の時は使わない為、サイドに。使ってみると思ったより「カード効果の対象にならずカード効果では破壊されない」に出くわしたので、何か違うカードを入れた方が良かったですね。

ハーピィの羽根箒
主に相手のバックを剥がす為のカードです。確かに強いのですが、【青眼】等ほとんど伏せないデッキには効果がないこと、妨害札ではないため先攻では初手に引くと微妙な為、サイドに。

ツインツイスター
2枚目のハーピィの羽根箒的な扱いです。速効魔法なのでスケールを割るのにも使えます。このデッキでは手札コストが厳しい為、1枚だけ採用。

コズミック・サイクロン
伏せを剥がしたり、スケールを飛ばしたりする小回りのきく魔法罠除去カード。「破壊」ではなく「除外」するので、ペンデュラムゾーンにモンスターを貯めなかったり、墓地に送りたくない真源の帝王などの魔法罠カードを除外できるのがいいですね。

揺れる眼差し
スケールを割るカード。このデッキではスケールを2枚割ると地味にダーク・ドリアードをサーチできます。

魔法効果の矢
相手の表側表示の魔法カードを全て破壊するカード。2枚目の揺れる眼差し的な位置のカードです。

システムダウン
言わずと知れた【ABC】に対するメタカード。ブラックホールと若干、役割が被ると思っているので合わせて3枚ということでこちらは2

超融合
【メタルフォーゼ】と【DD】の先攻展開を返す為のカード。他のデッキに対しては使わない為、サイドに。

月の書
【彼岸】に対するメタカード。最近採用率の高い闇の護封剣と比較すると、先攻で引いた際もバックになるということでこちらを採用しました

禁じられた聖槍
直前のCSで【結界像ビート】が結果を残し、【結界像ビート】は安価なデッキである為、使用率が高くなるのではないかという予想の基に2枚採用しました。実際は【結界像ビート】は1人しか使用者がいなかった上に、【クリフォート】にも当たらなかったので、何か違うカードを入れた方が良かったですね。

魔封じの芳香
ペンデュラムテーマに対する追加の魔法族の里として、サイドに用意しました。

エクストラデッキについて

基本的なカードは割愛して、特徴的なカードだけ説明させて頂きます。

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
超融合要員その1。【DD】の先攻展開を返す用に。一応、自分のダルクorダーク・ドリアード2体を融合しても出せます。多分やらないですが。

メタルフォーゼ・カーディナル
超融合要員その2。こちらは【メタルフォーゼ】の先攻展開を返す用です。

Em  トラピーズマジシャン、ダウナード・マジシャン
魔法使い族×2の魔法使い族ランク4モンスター。魔法族の里を張る以上、魔法使い族のエクシーズモンスターは重要です。

プレイングについて

ープレイングについてお聞きします。デッキのまわし方や何か決まった動きやよくやる動きなどはありますか?

電車:このデッキは構成を見て分かるように使いかたは【命削りクリフォート】に近いです。バックをガン伏せして、憑依装着達を守って戦うことになります。

決まった動きに関しては、命削りの宝札or強欲で貪欲な壺と強欲で謙虚な壺が手札に同時に会ったときは、前者から使うということですね。
引いたカードを見てから選んで手札に加える方が伏せカードの質が上がります。例えば、先攻で先に強欲で謙虚な壺で魔法族の里を手札に加えてから命削りの宝札を発動したら、2枚目の魔法族の里を引いた、なんてことが起こらないように気をつけてプレイしていますね。

サイド交換について

ー憑依装着デッキのサイドチェンジについてはどうしていますか?

電車:その時によって若干違いますが、大体こんな感じになります。

【DD】
OUT:スキルドレイン3、憑依解放1
IN:ハーピィの羽根箒1、コズミック・サイクロン2、超融合1

【メタルフォーゼ】
OUT:憑依解放3、強欲で貪欲な壺1、マクロコスモス3
IN:コズミック・サイクロン2、揺れる眼差し1、魔法効果の矢1、魔封じの芳香2、超融合1

【ABC】
OUT:強欲で貪欲な壺、憑依解放1、スキルドレイン3、虚無空間1
IN:ハーピィの羽根箒1、ツインツイスター1、コズミック・サイクロン2、システムダウン2

【青眼】
OUT:スキルドレイン3、虚無空間1
INT:禁じられた聖槍2、月の書1、ブラックホール1

【幻影彼岸】
OUT:スキルドレイン3
IN:ハーピィの羽根箒1、ブラックホール1、月の書1

デッキを作る上で気をつけたことは?

ー今回CSに臨むにあたりデッキを作る上で気をつけたことはありますか?

電車:これはどのタイプの【メタビート】でもそうだと思うんですが、環境デッキに刺さるメタカードを選んで採用するってことですね。
あと、先入観を捨てることです。分かりやすい例を挙げると、魔導征竜環境では、メインデッキのフィールド魔法は魔法族の里ではなく、王家の眠る谷-ネクロバレーを採用していました。これは【魔導】が魔法使い族主体のデッキで有った為です。確かに、魔法族の里はこのデッキタイプでは鉄板とも言えるカードですが、それにこだわっていては勝てる相手にも勝てなくなるので、柔軟な発想を持つことが大切だと思います。

それと、個人的にこのデッキでは一番大切だと思ってる点が、「なるべくデッキに憑依装着または霊使いに関係のないモンスターを採用しないこと」ですね。憑依解放が登場する前のこのデッキは、「それって、何で憑依装着なんですか?ヂェミナイ・エルフじゃ駄目なんですか?」という質問に対して「憑依装着の方が可愛いだろ!」という回答しか持ち合わせていませんでした。

これは、このデッキタイプ的には完全回答に近いのですが、ここで霊滅術師カイクウ等をデッキに入れると「じゃあ何でカイクウは入ってるんですか?単純に強いからですか?なら、憑依装着よりも強いヂェミナイ・エルフの方がいいんじゃないですか?」と相手に質問されると負けてしまいます。しかし、この質問は「採用するモンスターを憑依装着または霊使いに関係するモンスターのみ」にすることで、「いや、そのカード霊使いと関係無いんで」という回答を用意でき、ケアすることができます。

そもそも、【嫁メタビ】は【里メタビ】の派生系のファンデッキで、モンスターを可愛い女の子だけ(人によってはショタや男の娘も)を採用したデッキタイプで、強さだけで採用モンモンスターを決めると、【嫁メタビ】ではなく【里メタビ】になってしまいます。
これが、ファンデッキのジレンマで、強さだけを考えて構築すると本来のデッキコンセプトが崩壊して違うデッキになってしまいます。勝利とデッキコンセプトのバランスといいますか…。

【嫁メタビ】を例にすると、「お注射天使リリーやブリザード・プリンセス等の可愛い女の子で勝ちたいから組んだのに、実際にいつも活躍するのはカイクウとジョウゲンばっかり…」ということになってしまいます。これでは、何で【嫁メタビ】を組んだのかが分からなくなってしまいますよね?

僕は【里メタビ】でも【嫁メタビ】でもなく霊使い達の【憑依装着】を組みたかったので、「なるべくデッキに憑依装着または霊使いと関係無いのないモンスターを採用しないこと」に決めています。なので、憑依装着以外で今回採用しているダーク・ドリアードはリメイク元のモンスターの肩書きが霊使い達のイメージに近いからですし、以前採用していた久遠の魔術師ミラはイラストが光霊使いライナに似ているからと、僅かながらに霊使い達に関係がありそうなモンスターを採用するようにしています。正直、この辺のこだわりは人それぞれなので、「電車って奴はこういうふうに考えてるのか…」くらいの認識でいいと思います。

デッキの弱点は?

ーこのデッキの弱点はどこでしょうか?

電車:他の【メタビート】と同じく、高打点のモンスターがフィールドに出てしまうと対処しづらいということと、伏せカードを破壊したり、無効化するカードに弱いということですね。最近はハーピィの羽根箒に加えてツインツイスターまであるので、魔法族の里を張れないと中々厳しいですね…。

このデッキを使用するようになった経緯

ーなぜ憑依装着を使うようになったのですか?

電車:昔から【メタビート】系のデッキが好きで、公認大会とかは【メタビート】系のデッキで出てたんですよね。元々、このデッキは【スキドレ次元】でした。でも、時が流れるにつれて【スキドレ次元】じゃ勝てなくなって。でも、なるべく環境デッキは使いたくない。そこでふと思ったんです。

「【スキドレ次元】のモンスターを全部憑依装着にすれば、知り合いに大会で勝ったときに、そんな強いカード使ってるのに女の子一人倒せないんですかwwwって、煽れるんじゃね?それにこれで勝てたらカッコいいし!」って。

正直、当時の自分をぶん殴ってやりたいです。今思えば、かなり恥ずかしい考えですが、これが約5年前、僕とこのデッキとの初めての出逢いですね。
それから使っていく内に愛着がわいて、ずっと使い続けて今に至るって感じです。

【憑依装着】の魅力について

ー【憑依装着】の魅力について教えて下さい。

電車:最近のデッキで採用カードが似ている【クリフォート】と【結界像ビート】と比較して【憑依装着】が勝っている点を挙げたいと思います。
【クリフォート】と比較すると魔法族の里を採用できるという点で勝っています。現在の環境に置いて魔法カードを封殺できるというのはかなり大きく、場合によってはそれだけで勝てるので、これはかなり大きい利点です。

それに加え、【結界像ビート】と比較するとスキルドレインを採用できる点で勝っています。【結界像ビート】は各種結界像とフォッシル・ダイナ・パキケファロのモンスター効果で相手の特殊召喚を封じて戦う為、スキルドレインを採用することができません。これにより、現在の環境では【結界像ビート】よりも先出しされたマジェスペクター・ユニコーンを返しやすいと言えます。

さらにこの2つのデッキと比較して、【憑依装着】は採用しているモンスターが、圧倒的に可愛いという最大の利点があります。可愛いは正義です!

好きなデッキを使い続けることについて

ー電車さんにとって好きなデッキを使い続けるというのはどういうことですか?

電車:好きなデッキを使い続けるのに理由はないです。「好きだから使う」これが全てです!好きだから使って勝つと嬉しいし、好きだから負けても次に勝てるように頑張る。
カードゲームをやってて、好きなデッキと巡り会えた瞬間はトップクラスに幸せな瞬間だと思います。

環境デッキとの差について

ー環境デッキとのパワー差についてどう思いますか?

電車:正直な話、環境デッキとはかなりデッキパワーに差があると思います。しかし、僕はメタカードの取捨選択によって埋めることが可能であると思っています。魔法族の里しかり、マクロコスモスしかり。【憑依装着】が【メタビート】の一種である以上、環境を見極めて適切なメタカードを取捨選択していきたいですね。

今後欲しいカードは?

ー今後出て欲しいカードはありますか?

電車:全国の霊使いファン達と同じように、憑依装着-ライナと憑依解放に描かれているプチリュウの進化体が欲しいです。特に憑依装着-ライナは皆待ってるんじゃないでしょうか…?

今後使ってみたいデッキ

ー今後使ってみたいデッキはありますか?

電車:可愛い女の子がいるデッキが好きなので、使ったことないデッキだと【アロマージ】とか使ってみたいですね。新段で強化されましたし。一応、パーツはあるので今度組んでみようかな…。

土浦CSの環境について

ー土浦CSの環境はどのようなものでしたか?

電車:デッキ分布を見ると、一番多いデッキタイプでも使用者は13人と様々なデッキが存在する良環境でした。デッキに偏りがない環境は【メタビート】としては対策が困難になるので苦手な環境なのですが、個人的には大好きです。
そんな中、予選は2回戦で【シャドール】、3回戦で【シラユキライロ】とピンポイントに当たりたくないデッキとばかり当たってしまい、死を覚悟しました。まあ、なんとか勝てたので良かったですがw

予選を突破した時

ー予選を突破した時はどう思いましたか?

電車:ただただ嬉しかったですね。予選はマッチ戦績4-1で突破できるとは思ってたんですが、実は予選落ちでぬか喜びだったらどうしようかと不安でした。その後は、ここまで来たら優勝してやる!って思いましたね。まあ、決勝トーナメント1回戦で負けてしまいましたがw

入賞前後で変わったこと

ー入賞してから変化したとこはありますか?

電車:フォロワーが入賞前の約2倍になりましたw
それだけ【憑依装着】に感心を持ってくれた人が多いってことだと思うのでとりあえず嬉しいですね!

印象に残った試合

ー大会を通して印象に残った試合はありますか?

電車:予選4回戦の【DD】相手の3戦目、僕が先攻で初手を見ると、

神の宣告
神の通告
神の通告
神の通告
コズミック・サイクロン

で、【DD】相手にこれは負けたな…。と思ったんですが、相手のDD魔導賢者ケプラー3体にこちらの神の通告を3枚当て、地獄門の契約書2枚にコズミック・サイクロン2枚を、相手のラストターンのトップデッキの強欲で貪欲な壺を神の宣告で無効にして勝った試合ですかね。上手く相手の引きと噛み合ってくれて助かりました。

最後に一言

ー最後に何か一言頂けますか?

電車:今回、なんとか【憑依装着】で個人ベスト16という実績を残すことができました。好きなデッキを使って勝つと本当に楽しいですし、好きなデッキで実績を残せると本当に嬉しいです。
「ファンデッキだから、環境のガチデッキに絶対勝てない」なんてことは決してありません。諦めないで努力すればいつかきっと勝てるようになるはずです!

ファンデッキで実績を出したいと思ってる人は、是非これからも諦めないで頑張って下さい!
また、「好きなデッキじゃ勝てないから環境デッキを使おうかな…?」と思ってた人が、僕が入賞したのを見て「もう一度、自分の好きなデッキで頑張ってみよう!」と1人でも思ってくれたのなら僕は嬉しいです。

最後に、もう一度。

可愛いは正義!

青葉志乃さん(@shino_uwai)画

フルハ:電車さん、今回も取材を受けて頂きありがとうございましたm(_ _)m
【憑依装着】への愛がひしひしと伝わって来ました。

同じく1つのデッキを使い続ける身として、電車さんのデッキ愛を勉強させて頂きます。そして、これからもご活躍に期待しています!

今後も不定期で気になった方のお話を伺っていきたいと思います。
それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました(^^)

コメント

  1. 匿名 より:

    ファンデッキ使いとしての心意気に感銘した

    • フルハ より:

      コメントありがとうございます!

      電車さんの「大好きなこのデッキで勝つんだ」という気持ちが伝われば幸いです。
      長年の努力の賜物ですよねφ(^ー^)ノ

  2. ぼーの より:

    インタビュー&ブログお疲れ様です。
    電車さんの、自分の好きなデッキにこだわり、さらに勝つという事はとても凄い事だと思います。
    私もファンデッカーですが、このコラムを読ませて頂いて、もっと自分の好きなデッキを強くしたい!という気持ちが強くなりました。ちょっと構築を練り直したいと思います。

    • フルハ より:

      ぼーのさん、コメントありがとうございます!

      電車さんもそれを聞けて嬉しいと思いますよb
      楽しみ方は人それぞれですが、勝てるように調整して勝っていくというのも楽しみ方の1つですよねφ(^ー^)ノ

  3. M より:

    素晴らしい。
    DDの記事から見てますか、
    見応えがあります。

    お金はあるけど時間がないけど大会に出たい社会人YPにとって、
    大会の構築とその説明を詳細に書いてくれる記事は重宝します。

    もし、よろしければサイドボードの変更などの部分をもう少し厚くしてくれると個人的に嬉しいです。

    • フルハ より:

      Mさん、コメントありがとうございます!

      いつも見て頂いてありがとうございますm(_ _)m
      カードは用意出来ても、構築やまわし方は時間のない方にとっては情報を集めるのが大変ですよね。
      改めて大事な視点だったと再確認できました。

      サイドボードの件は電車さんにお聞き出来ましたので、追記させて頂きました。
      今後も、読む方の要望に可能な限り応えられるよう改善していきたいと思います。
      参考になるご意見ありがとうございましたφ(^ー^)ノ