【遊戯王コラム】「手を繋ぐ決闘者達」第10回『青眼』

※2017年5月13日追記しました。

このコラムもお陰さまで、ついに2桁目を迎えました。
今回の紹介決闘者は、選考会にも出場経験がある「D.S」(@DS_yp)さんです。

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このページからご覧になった方はこちらもご覧ください。
「手を繋ぐ決闘者達」第0回
この企画の趣旨が書いています。
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紹介YP「D.S」さん

もくじ

D.S(@DS_yp)さんと初めてお会いしたのは地元のカードショップの店舗代表戦の時でした。
カードやルールの知識が豊富で、対応もとても丁寧なのが印象的です。そして強い!!

CSでの入賞数もさることながら、選考会への出場経験もお持ちです。
選考会プレイヤーのデッキ構築やプレイングの理論についても聞いてきました。

それではD.Sさん、よろしくお願いしますm(_ _)m


(※D.Sさんのいつものアイコンです)

遊戯王歴と最初に使っていたデッキは?

ーそれでは、遊戯王歴はどれくらいでしょうか?

バンダイ版とか Vol.1 の頃からです。
小学生の頃は MTG が大流行していて僕も元々は MTG を遊んでいました。近所の駄菓子屋に集まって高校生によく相手をしてもらっていたのを覚えています。
スタン落ちで同級生が MTG を離れ始めた時期に、同級生から「コナミから遊戯王のカードが発売されるらしい」と聞き一緒に遊戯王へ移行したのがきっかけでした。

ー最初に使っていたデッキは何を使っていました?

遊戯王を始めた頃はパックから出たカードを適当に寄せ集めて遊んでいました。
カードが集まってきて初めてまともに組んだデッキは【デビフラ 1 キル】だったと思います。当時(2000/7/15 制限 ) は《サンダー・ボルト》、《ブラック・ホール》、《ハーピィの羽根帚》が制限で《大嵐》は 3 枚体制の環境。豊富な除去で相手の場を更地にしつつ、《デビル・フランケン》から《青眼の究極竜》を特殊召喚、《巨大化》装備で 9000 ダメージを叩き込むといったコンセプトでデッキを組みました。ところが、《青眼の究極竜》のパックが発売されてから 5 日後に《巨大化》が制限に…。セミの成虫よりも短命なデッキでした ( 笑 )
-大嵐3枚の環境も驚きですが、作ったデッキのプランが5日で瓦解したのですね…^^;

デッキレシピ:青眼

第2回ヒノキ杯1位(6-1)
第3回M2CS3位(5-2)
第1回JGPベスト8(5-1)

採用カードについて

ー採用カードについて教えて頂けますか?

はじめに、僕がこのデッキを構築するうえで最も重要視したのが「手札事故が起こりやすい【青眼】デッキの手札事故を最小限に抑えること」でした。そのため採用カードは【青眼】の基本ギミックの他には「デッキを回転させるカード」と「最小限の妨害札」にとどめています。

《竜の霊廟》の不採用
環境初期《調和の宝札》を採用しないで《竜の霊廟》を採用していたのですが今回は《竜の霊廟》を 1 枚も採用していません。
基本はバニラモンスター+《太古の白石》を落とすのですが、《復活の福音》とペアで持っていても 2 枚消費で出来る盤面が 8 レベルモンスター+エンドフェイズに 8 レベルモンスターと即効性に欠けること、試合後半で引いた時の弱さが気になり抜けていきました。
もう少し環境が遅ければ強いカードなのですが…。 
 
《調和の宝札》
調整では採用枚数が 1 ~ 3 枚を何度も行き来しました。発動するとリソースに余裕ができる点がとても強いのですが、 3 枚採用した時は発動できず手札に腐ってしまうことが多々あり、最終的には 2 枚に落ち着きました。 3 枚採用する場合は《青き眼の祭司》か《伝説の白石》を足す必要があると思いましたが、《青き眼の祭司》を採用すると《竜の霊廟》も採用したくなってしまいデッキ枚数を 40 枚に抑えられなかったのでこの案は見送りに。
 
・手札誘発
先行時にはこちら側が《青眼の精霊龍》+《増殖するG》の様な盤面を作り相手に返しを要求出来ること、後攻時には相手の先行展開を牽制できることから《増殖するG》は 3 枚採用しました。これに加えて《青き眼の賢士》からサーチできる選択肢として《エフェクト・ヴェーラー》を 1 枚採用。手札誘発はこの 4 枚を基盤に調整していきました。
 
《幽鬼うさぎ》
調整段階で上記 4 枚では手札誘発が足りないと感じ他の候補を探すことに。
《D.D.クロウ》は【 ABC 】、【 DDD 】、【青眼】に対しては良かったですが当時使用率が一番多かった【メタルフォーゼ】に対しては強く打てる場面が限られていたのでメインデッキからの採用は見送りました。
2 枚目の《エフェクト・ヴェーラー》も候補としてかなり悩んだのですが今回はデッキ使用率が増えていた【ABC 】の《 ABC -ドラゴン・バスター》や《ユニオン格納庫》を破壊できる《幽鬼うさぎ》を採用しました。 ( 《 ABC -ドラゴン・バスター》は相手ターン限定ですが )
《幽鬼うさぎ》は《エフェクト・ヴェーラー》と違い、直接盤面のカードを破壊してくれる点、後引きでも機能する点が好感触でした。ただ、先行時には 3 チューナーなので手札で浮いてしまう点、発動が 1 ターンに 1回しか出来ない点から、なるべく複数枚は引きたくなかったので採用枚数は 1 枚にとどめました。
 
《鳳翼の爆風》
先行で強く機能する妨害が欲しかったので採用。 3 枚でも良かったのですが手札コストとのバランスを考えて今回は 2 枚採用しました。【青眼】ギミックには出来ない妨害をしてくれたり、デッキ全体に器用さを与えてくれる良いカードだと思います。ただ、《次元障壁》の方がカードパワーが高そうなので、今後の環境や東北地方でのデッキ使用率をみてこの枠は調整して行きたいです。

プレイングについて

ープレイングについてお聞きします。何か決まった動きやよくやる動きなどはありますか?

ドローソースを打つ順番や《青き眼の賢士》の使い方が分かれるデッキだと思います。
こちらの手札が《青眼の白龍》、《青眼の亜白龍》、《太古の白石》、《青き眼の賢士》で相手の場が《武神帝-ツクヨミ》+伏せ複数みたいな盤面の場合、《青眼の亜白龍》と《太古の白石》召喚から入ると、《次元障壁》が無いか確認しつつ、《次元障壁》でシンクロ宣言された時は《青き眼の賢士》効果で《白き霊龍》を特殊召喚して伏せを 1 枚剥がしつつ 8 エクシーズみたいな逃げ道ができるので《青き眼の賢士》の使い方がかなり重要だと思います。
【青眼】ミラーでも相手の作った盤面を 8 エクシーズで超えないといけない場面に必ず出くわすので《青き眼の賢士》はなるべく手札に温存しておくように心掛けています。

デッキ選択や構築する上で気をつけていることは?

ーデッキ選択や構築する上で気をつけていることはありますか?

大会一日を通して勝ち切れるか、使っていて楽しいか、自分の性格に合っているかを考えてデッキを選択しています。

今期は使っていて楽しかった部分が一番大きくて【青眼】を使い続けました。途中で【 ABC 】に乗り換えようか考えたこともありましたが、今期はずっとこのデッキを使い続ける事が出来て嬉しかったです。

デッキの良いところを3つあげるとしたら?

ー青眼の良いところを3つ上げるとしたら何をあげますか?

① 《強欲で貪欲な壺》の他に《トレード・イン》、《調和の宝札》といったドローソースが多めに採用されているのでデッキを掘り起こしていて爽快感があるところです。【青眼】というデッキタイプは手札事故が起こりやすいところが敬遠されがちなのですが、僕はなるべくメインデッキの枚数を 40 枚に抑えてドローソースとドローソースのコストが揃いやすくなるように心掛けています。
②先行有利な今の環境ですが、このデッキの 8 レベルモンスターと 8 エクシーズモンスターは相手の盤面を返す性能が高く、後攻を渡された場合でもある程度戦えるところです。【青眼】のデッキパワー自体は環境で一番とは言えないかもしれませんが、相手の盤面を返す性能は現環境随一だと思います。
③今現在の話ではなく少し前の話になってしまうのですが…、【メタルフォーゼ】が東北地方の CS では使用数が一番多い時期がありました。【青眼】使用者の観点からすると、メインギミックの《青眼の精霊龍》や《白き霊龍》が一番刺さる【メタルフォーゼ】が一番多い環境は追い風だったと思います。【青眼】をやめて別のデッキを使おうと思った時期もありましたが、【メタルフォーゼ】の使用者が多かったので今期は最後までこのデッキを使い続けることができました。

デッキの弱点は?

ー青眼のすばり弱点は何でしょうか?

他のデッキタイプに比べて手札事故が多いところです。
・《トレード・イン》+ 8 レベルモンスター
・《調和の宝札》+ 1 レベルドラゴン族チューナー
・《復活の福音》+墓地の 8 レベルモンスター
上記みたいな感じで 2 枚が揃っていないと動けないのでペアが成立しないと何も出来ません。その為、デッキの枚数を 40 枚に絞ったり、「構築王」というアプリを使って何度も初手チェックを繰り返し事故の起こった回数を記録したりしていますがやっぱり大会本番で事故る時は事故りますね ( 笑 )

構築王 (遊戯王OCG用デッキビルダー・デッキレシピ) App
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料

今後出て欲しいカードは?

ー今後、出て欲しいカードはありますか?

最近だと先行展開を返せずに終わってしまう試合が多いので、後攻側にもチャンスを生むようなカードがほしいです。 TCG 圏では《サンダー・ボルト》が制限、《ブラック・ホール》が準制限なのでそういったカードを緩和したら面白そうだなと思います。

注目しているデッキは?

ー今後、注目しているデッキは何ですか?

デッキパワーでいえば【 ABC 】が今期は沢山結果を残していて注目しています。最近の東北地方の CS では使用者数も【メタルフォーゼ】を抜いて【 ABC 】が一番多くなったみたいですね。

次の環境について

ー次の環境の予想などはありますか?

9 月に発売されるエクストラパックにはこれまでの環境に一石を投じそうなカードが沢山あって注目しています。

特に《 Gameciel, the Sea Turtle Kaiju 》は TCG 圏の選考会クラスの大会でもサイドデッキの定番とも呼べるくらい採用されていたので是非とも集めたいです。海外新規テーマの【 Kozmo 】も TCG 圏の大会ではよく上位で見かけますが、選考会クラスの大会では【帝】、【幻影彼岸】の下位に甘んじて【 Kozmo 】使用者は代表を 1 人も獲得できていませんでした。ですので、このテーマは日本の環境にうまく馴染める要素がなければ環境トップはちょっと厳しいかなー、と見ています。

選考会について

ー選考会でのことについてお聞きします。通常の大会やCSとはどんなところが違いますか?

僕が出場したのは 2014 年、 2015 年の東日本選考会だったのですが、その時は北海道・東北・関東・中部地方の方が集まっていて普段出ている CS よりも色んな地域の方が居ると思いました。また、 CS では大会初参加の方なども居ますが、選考会では店舗代表戦からブロック代表戦を勝ち上がってきた方しか居ないので 1 回戦からかなり緊張しました。
CS では各自タイマーを持ち込んで時間を見ながら対戦するのが一般的ですが、選考会では時計での時間計測が禁止で腕時計やデュエリストデバイス等の時間が見られるものは全て鞄にしまう様に言われたことにも驚きました。
会場の雰囲気も選考会ではみんな「日本代表」というひとつの目標の為に出場しているので普段の CS とは違った独特の緊張感があると思います。

対戦した試合の中で印象に残っている試合は?

ー今まで対戦した試合の中で印象に残っている試合はありますか?

大きな大会ではないのですが、初めて秋田県の公認大会に出た頃が印象に残っています。
CS 文化が無かった当時、秋田県の遊戯王プレイヤーにとって一番身近な腕試しの場は公認大会でした。そんな中、K.Tさん (皇帝さん) がよく公認大会で優勝していたので「まずはこの人に勝とう!」と目標を立てたのが僕の遊戯王生活のスタートでした。
フリーでも公認大会でも中々勝たせてくれませんでしたが、初めて公認大会で K . T さんに勝てた瞬間は指先が震えるくらい嬉しかったのを覚えています。


観戦した試合の中で印象に残っている試合は?

ーでは観戦した試合の中で印象に残っている試合はありますか?

2014年選考会決勝戦の「JOKER」(2013年代表)さん対「ひやま」さんの試合が一番印象に残っています。
勝った方が世界大会の切符を得られる試合だったのですが、会場は静まり返っていて独特の緊張感に包まれていました。応援していた JOKER さんが惜しくも敗れてしまい、試合後の悔しそうな様子を見て「俺が今日負けた時はこんなに悔しいと思えなかったから自分の努力はまだまだ足りなかったんだなぁ。」と反省しました。
本当に努力している人が身近に居て、そういう人を目標に出来るのでいつも感謝しています。

最後に一言

ー最後に何か一言頂けますか?

D.S:たっきーいつもありがとう!

結婚してくれ!!!!!

………………

…………

……

フルハ:D.Sさん、今回は取材を受けて頂きありがとうございましたm(_ _)m

CSで勝ち続けるためのお話や選考会についてなど、大変貴重なお話を聞くことが出来ただけでなく、僕も青眼を使いたくなりました!

ただ「勝つ」のではなく「勝ち続ける」

「継続する」というのは本当に「力」なのだと思いました。

それでは、次の紹介YPを指名して頂きたいのですが、どなたにしましょうか?

D.S:めいろ(@labyrinth7700)さんにお願いします。

フルハ:よく一緒にチームを組まれているめいろさんですね。確認します。

ーー数分後ーー

フルハ:了解頂けましたb いよいよ秋田県外のプレイヤーの方に移っていきますね!

第11回の「手を繋ぐ決闘者達」の紹介YPは「めいろ」さんです!

D.Sさん、この度は取材を受けて頂きありがとうございました。
これからのご活躍に期待しています!

それでは、次回もよろしくお願いします。

次回「手を繋ぐ決闘者達」Ver.めいろ(@labyrinth7700)さん

Coming Soon…

最後まで読んで頂きありがとうございました(^^)

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おまけ①

D.Sさんとの対戦で一番記憶に残っているアビスCSの1回戦
暗黒界(D.Sさん)VSセイクリッド(フルハ)
3セット目ETに突入

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場:カウスト攻撃表示、ミラーフォース2枚
手札:オネスト、セイクリッド・シェラタン

D.Sさん:暗黒界の門をゼピュロス効果で4回使用。

4枚ドローで引かれた大嵐・ブラックホールで更地されグラファ2体の攻撃でライフ0


おまけ②

※2017年5月13日追記

お話を聞かせていただいたD.Sさんですが、この度ブログを始めました。
【十二獣真竜】について構築段階の話から、かなりのボリュームで丁寧に解説されていますのでぜひご覧ください!

□【十二獣真竜】ってどんなデッキ? 今期の初期から存在していたデッキタイプですが、私が十二獣真竜を使い始めた4月上旬頃は使用者数がそれほど多い訳ではなかったの…